グリーンアラスカ/人生の決断とその理由

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シャリュトリューズ

 シャリュトリューズにジン、微量のオレンジビターズを加えシェイクします。非日常的なテイストが新鮮です。

 やや多めのアンゴチュラスビターズ、ジン、少量のホワイト・キュラソーを炭酸水で割ってステアーします。これも、苦みが効いた男のカクテルという感じでしょうか。

 今朝は午前4時まで札幌の『すすきの』で親友と飲み歩いていました。医学部の同級生で、悪友です。悪さの限りを尽くした仲です。まあその後紆余曲折があって、私は47歳の時に22歳だった現在の細君に出会いました。翌年に結婚し、今に至っています。共有している16年間の物語は何ものにも代えがたい濃密な歴史です。人間の儚い人生において、今後、数十年に及ぶであろう男と女の、一対の夫婦の物語というわけです。

 私は、風俗系の世界とは無縁の暮らしを通してきました。村上龍の小説は好きで、ほとんどすべてを読破しています。若くして芥川賞をとって、六本木、銀座の高級クラブで夜な夜な遊びまくった体験をもとにしたとしか思えない作品が連綿と続きました。登場する女性はほとんどが風俗関係です。一般人の普通の女性は皆無に等しいのです。
 したがって、小説の世界には吐き気を催すような、常識人の価値観を破壊超越するような表現が多々あるわけですが、文章力で読ませてしまうところがすごいです。
 昨夜は『すすきの』で親友から接待をうけて、最後に行ったクラブでは彼の『彼女』(長身・童顔・巨乳)の女王様が一緒で、私には「タイプの女の子」を呼ぶから、と。たしかに、さすがになにもかもを知り尽くした悪友だけあって、隣に座ったのは、23歳、ほっそりして、手足の長いスリムな女性で、ほぼすっぴん、小さな瓜実顔で、切れ長の楚々とした目、日本人には珍しい細い鼻梁、ふっくらした唇。長い黒髪、透けるような白い肌で、甲高くないまろやかな声でゆっくり話す…… たしかに、私が独身で40代前半以下であれば『のめりこんで』しまったに違いない方でしたが、私は63歳で、38歳の愛妻がいる現実を大切に生きている男ですから、横にそのような天使のようなお方がいらしても、何も感じません。綺麗だな、とか可愛いな、とか表面的な感想はいだきますがそれで終わりです。彼は、私の学生時代の厳しい恋愛の対象だったピアニストを知っているのでその生き写しのようなお方を選び抜いていたようです。お見事! さすがです。こういうのをハニートラップというのでしょうか。
「お持ち帰りしちゃえば?」と言われても笑ってしまいますね、はい。人生における優先順位は、個人差が大きいわけで、そこはどうすることも出来ません。そんなに嫁さんが大事なの? もっと人生楽しまなくちゃ! などと言われても、あははと笑うしかありません。また今度ね、と。私はかつての悪ガキをとっくに卒業しているのですが……
 彼女は必死で、けなげでした。一緒に外に出たときは冷たい雨が降りはじめていました。楚々とした水色のコートの襟を立て、タクシー乗り場までついて来ました。じゃあ、お休み、と言って一人で車に乗り込むと、彼女はきょとんとして、薄く開いた唇から?????と呟いているようでした。

 ここはイェーガーマイスターのソーダ割でも飲みながら、60代の男の人生の選択を静かに振り返ることにいたします。

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