何だこりゃ、どういうことだ、おい……

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 ClassicPro製のローコストPAスピーカーシステムCS804です。シンプルな2Wayフルレンジ構成。8本のフルレンジユニットとがっちりしたフレームをもつショートホーン付リボンツイターという構成で、118dBという高能率。
 メインのALTECに付加して音圧をかせぎスクリーンアレイシステムが聴かせる広大な音場感を出そうという実験目的で購入してみました。で、まずは単体で鳴らしてみることにしたわけです。手元にあるヤマハのCDプレーヤーとインテグレートアンプ、ベーリンガーのGEQというシンプルな構成で聴き慣れたCDをドンドン聴いていきました。GEQの調整はとくに凝ったことはせず、100~200Hzあたりの盛り上がりを取り、人間の耳の感度が高い4kHzを中心になだらかに谷を作っています。GEQにサブウーファー出力がついていたので、これも利用し重低音をサポート。システムのトータル価格は15~6万円前後でしょうか。
 結論から先に言えば、家庭で音楽を聴く装置として、この価格でこれだけのワイドな音場と耳当たりのいい上質なサウンドを、かくも簡単に提供してくれる組合わせは見当たらない、ということになりそうです。164X233X1138mmというサイズ、占有床面積はわずかですから設置に場所はとりません。スタンドに乗せた方がホールの広大な空気感は得られやすいはずです。背面に大きな空間をとりにくい6畳間でもラインアレイタイプの強みが発揮されるはずです。できればツイターが耳の高さにくるように調整するのが良いでしょう。 細君曰く、優しい女性的な音ね。まさにそういうスムースさがあり、高域もびっくりするほど粗さがなく、さらっとした上品さがあります。大音量でもびくともしません。音像もぶれのない安定感のある定位で、頭を振ってもがらがら音像が動き回ったりしません。アレイ型の独壇場ともいえるワイドな音場とホーンやパーカッションのパルシヴ響きも、エネルギーが減衰せずに飛んでくる感じです。
 価格が20倍以上する高級家庭用システムでも、音楽をここまで安心して楽しく聴ける組合わせは滅多にあるものではありません。
 このスピーカーはオーディエンスに音楽をモニターさせるのではなく快適に、楽しんでもらうことを最優先しているという印象を強く感じました。耳当たりがいいと言ってもディテールの再現も美しく、自然な透明感もあってあらゆるジャンルに対応してくれます。 こういう刺激感のないシルキーな響きが出るスピーカーは…… かつて英国製の古いコンパクトな製品で聴いたことがあったような気もしますが…… いや、こんなスケール感はコンパクトスピーカーでは無理なはずですね。……  人の声の、適度な湿り気のある温かさ、再生が難しい電気的処理を多用したハリウッドのEPIC MUSICも大音量でうるさくなりません。JBLのスクリーンアレイシステムも、大型ホーンにつけられた中域ドライバーは振動板が<紙>だということが、やはり大音量での聴きやすさに関係があるように思えてきます。
 フロントのパンチングメタルの保護ネットは裏面に3mmほどの薄いスポンジのようなダストプロテクト(目は粗)が貼付されています。このネットを外しても基本的な耳当たりの良さは残っています。さらさらした爽やかさにかすかに音像のエッジが立つようになり、一聴、鮮明さや鮮度感が増したように感じますが、ツイーターの存在感がやや気になるようになります。見た目的にはネットは装着しておきたいところですが音的にも、ネットを装着したままのほうがまとまりが良いと感じられました。ツイターの見た目は無骨ですが音は繊細、精緻です。今後、音楽愛好家の方から機械の事を考えずに済み、かつ場所をとらず、高価ではないシステムを組みたいが、と相談を受けた際はこのスピーカーとGEQ、スーパーウーファーをベースにしたCPの高いシステムをお薦めしようと思います。一本単価が6~7倍以上するブランド物の人気スピーカーを突き放す、音楽再生の高いクォリティ、ワイドに広がる音場には誰もが驚くでしょう。もちろん、イコライザーでの簡単な調整とスーパーウーファーの追加は必須ですが。
 発展形として、このCS804を左右に複数台使用するという、ちょっとしたホールでのSR、PAに準じた使い方をしても楽しいでしょう。面で音が迫ってくるような自然な空間感が再現できるでしょう。スタック使用が簡単にできる端子が最初から装備されていますし…… まあ、俄かに信じ難いとは思いますが、通常のSR、PA用のスピーカーシステムが聴かせるじゃじゃ馬的な荒々しさはまったくない、ということを強調しておきたいと思います。 たとえば、この左の写真のようなタイプのシステムはかなり細かく調整をしませんと、粗削りで野放図なサウンドになりがちで、音楽愛好家の方々にはお薦めしにくいのですが、CS804にはそうした難しさは全くないと言ってもいいでしょう。
 もし、より本格的なじゃじゃ馬にあえて挑戦したいという御仁にはCARVINのシステムをお薦めします。1SETで20万円以下で購入できます。中低域もショートホーンが設けられています。上の、38cmダブルウーファー+中高域ホーン&ドライバーというタイプより家庭では使いやすいはずです。 ネットをかければおとなしい感じになります。
 家庭用のスピーカーにこうしたタイプはほとんどありませんし、あってもハイエンド機種であまりにも高価で、あまりのも複雑で素子数の多いビルドインネットワークを背負っています。PA、SRスピーカーのネットワークは最低限の素子しか使っていないケースがほとんど。PEQなどで整音することが前提になっているからでしょうか。あれこれやってみた結果として、CPの高いプロ機器を使いこなしていければ、リーズナブルな価格で素晴らしい再生音楽が家庭で堪能できるはずだと確信しています。
 それにしても、CS804を左右2本ずつ並べて鳴らすと、どうなるのか。怒涛のシアターサウンド化しそうでトライしたくなってきます。Audio&Visualに凝っておられる方にもこれは超お薦めです。「何だこりゃ、どういことだ、おい!」ということになりそうです。そして、小音量再生時にもこの細長いアレイタイプの良さが際立ちます。ボリュームを絞っても音場が痩せてしぼまないからです。ワンルームマンションで深夜ひっそりと鳴らすようなシチュエーションでは無敵。

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